私は昔、バックパッカーでした
古いワンボックス車で友人と二人、日本一周を1年間かけてやりました。
23歳のときです。
当時はそれを特別なことだととも思わず
20万円で購入したワンボックスカーに
愛用の寝袋と毛布、バックパックに適当に荷物を詰め込んで
さていくかと軽〜く出発しました(注:どちらも女性です)
期限は1年間あるし、車で寝泊まりできるし、なにしろ気楽なものでした。
急ぐ用事などなにもなく、
途中で働かせてもらったり、温泉を探し求めたり
各地にいる友人の家に泊めてもらったりしながら
のんきに楽しくゆるい旅をつづけていました
その以前から、兵庫県の実家と北海道の学校の行き帰りに
電車とフェリーをわざわざつかっていたのです。
飛行機だと3時間でつけるものを3日かけて向かっていました。
それがこの旅の下地になっているようにも思います。
今やもうない(あるのか?)分厚い時刻表をめくりながら、
舞鶴、もしくは敦賀のフェリー乗り場までの電車を調べます。
暮れていく街を走る電車に乗り込み、イヤフォンから流れるのは500マイル(忌野清志郎ver)
小樽までいくフェリーはトラッカーやバイカーばかり。
そこそこ安全で居心地良さそうな隅っこをすばやく見つけ死守します。
あとはただただ波のリズムに合わせて怠惰に眠るだけ。
指定席というものに無縁ですごした少女時代が
みつごの魂的に私の根幹となっています。
車での日本一周旅の停泊所は
あちこちの道の駅、森の中、お世話になった農家さんの庭先。
起きる時間も適当、行きたい方向は二人で相談して決める。
料理上手の相方が手早く作ってくれるパスタはいつも美味しかった。
コロナ禍で失われたものとは、
偶発性の出会いだと思います。
密を避けるための事前予約制がスタンダードになりました。
それは規則正しく秩序が保たれ、非常に素晴らしい。
ただ、それを物足りなく思うのも確か。
不愉快さや危険が排除されたかわりに失ったものは残念だけどある。
スケジュールが真っ白で、アラームの鳴らない旅をしてみませんか。
余白は怠惰ではないのです。
それは、視野を広くする書き込み可能な地図なのです。
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